耳鼻咽喉科展望
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副鼻腔炎の臨床像と副鼻腔粘膜浸潤細胞との関係
飯野 ゆき子宮澤 哲夫
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1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 65-69

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抄録

マクロライド療法を施行した慢性副鼻腔炎症例の副鼻腔粘膜の病理組織型を, 粘膜下の浸潤細胞からリンパ球型, 好中球型, 好酸球型と分類し, そのマクロライド療法の有効性ならびにその種々の臨床像と比較検討した。リンパ球型, 好中球型は, マクロライド療法の有効性が高く, 一方好酸球型はマクロライド療法の有効性が有意に低く70%に喘息などのアレルギー疾患が認められた。鼻内所見では, 好中球型, リンパ球型の症例は好酸球型に比べ, 有意に膿性鼻汁を有する頻度が高かった。また副鼻腔X線像から, 好中球型では上顎洞の陰影が節骨洞陰影に比べて高度な症例が多く, 一方好酸球型では簾骨洞の陰影が高度の症例が多かった。中鼻道の細菌培養結果と組織型との有意な相関は見られなかった。以上より, マクロライド療法を施行するにあたっては, これらの臨床像を念頭にいれその適応を検討すべきと考えられた。

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