1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 94-99
慢性副鼻腔炎に対するマクロライド長期投与療法は急速に広まり, その有効性はすでに確立されている。しかし, 無効症例の存在, 症状の改善はあっても消失は少ない, 投与中止後の再燃, マクロライド耐性菌の感染によると思われる急性増悪等の問題も現れてきている。また, この治療法の簡便さも手伝い, あまりに安易に適用され, 症例によっては, より効果的な治療法の選択がなおざりにされ, いたずらに長期投与が継続されている傾向も見られる。過去の162症例の分析から, 悩病期間と効果あるいは治療前の症状の程度と効果には明瞭な相関はみられないこと, しかし手術既往のある症例と10年以上の悩病期間の症例の比率が無効群で高いこと, 投与中止に伴い半数以上が症状の再燃を来すこと, 鼻茸に対する効果は限られており手術的治療が必要であること, レ線上の治癒は困難なことが多いこと, 洞の閉塞性病変には手術療法が必要であることが明らかになった。