耳鼻咽喉科展望
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喉頭粘膜における薬剤の吸収
清水 猛史藤田 健一郎間島 雄一木村 聖子徳持 史紀坂倉 康夫
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1996 年 39 巻 Supplement2 号 p. 176-180

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抄録

ウサギを用いた喉頭ネブライザーモデルを作製し, 塩酸セブメノキシム (CMX) とリン酸ベタメタゾンの喉頭粘膜からの吸収について検討した。薬剤の吸収は, 口腔粘膜と気管粘膜, 次いで声帯仮声帯の順に吸収率が高かったが, 重層扁平上皮と線毛円柱上皮で差は認められなかった。CMXの組織内濃度はネブライザー終了15分後に高値を示し, 60分後には半減した。CMXの血中濃度は測定限界 (100ng/ml) 以下であった。リン酸ベタメタゾンの組織内濃度もネブライザー終了15分後に高値を示したが, 加水分解産物であるベタメタゾンは60分後に高値を示した。血中濃度もリン酸ベタメタゾンがネブライザー終了直後に最高値を示したのに対して, ベタメタゾンは投与直後から検出され, その後徐々に増加し60分後に高値を示した。
Lipopolysaccharides (LPS) 前投与で惹起させた炎症モデルでは生食前投与群に比べてリン酸ベタメタゾンの組織内濃度がいずれも高い傾向があり, ベタメタゾンも気管粘膜における組織内濃度が有意に高く, 炎症病巣における薬剤吸収の亢進が推測された。

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