耳鼻咽喉科展望
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鼻茸のメサコリン過敏性と鼻腔通気度との関係
臼井 信郎原 俊彰渡辺 光弘大木 幹文甲斐 智朗
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1997 年 40 巻 2 号 p. 172-179

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抄録

本研究の目的は鼻茸を有する鼻腔の粘膜がメサコリン鼻エアロゾルに反応するか否かを調べたものである。対象と方法 : 鼻茸症例41例にアストグラフによるメサコリン鼻エアロゾル誘発試験を行い, 得られた量一反応曲線より誘発直前の初期鼻呼吸抵抗 (Rrs. N cont), 鼻反応性 (Sd.N) そして鼻感受性 (Dmin.N) の三つのパラメーターを抽出した。さらに誘発前後で鼻腔通気度検査と糸式鼻汁テストを施行した。結果 : 鼻茸症例のメサコリン過敏性は鼻腔における反応と推測され, 鼻腔通気路が狭いほど鼻反応性は強く出現するが, 鼻感受性との間には関連性を認めることができなかった。また鼻汁糸長と鼻感受性そして鼻反応性との問には有意な相関関係を証明することはできなかった。以上より鼻茸症例のメサコリン過敏性亢進を示す所見は分泌物の影響によるよりも鼻粘膜の腫脹によるものではないかと考えられた。

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