1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 182-189
アストグラフによる鼻エアロゾル誘発試験は鼻粘膜に対して穏やかな刺激として作用することから, 鼻粘膜反応の本来の状態をみているものと思われる。しかしながら, 描記される量一反応曲線はメサコリンエアロゾルが下気道にも吸入されるため上気道と下気道の両方の影響を受けているものと思われ, 鼻粘膜反応のみを評価するには両者を分離する必要がある。われわれが行っている3通りの方法について検討した。その結果, 1) 引算法 (鼻呼吸抵抗一口呼吸抵抗) は本試験に対する感度が最も高かったが, 下気道の影響を完全には除去出来なかった。2) L&P法 (Lacourt&Polgerの計算式による値) は上気道と下気道を分離出来るが, 煩雑な計算を必要とする。本試験に対する感度も低かった。3) 標準法 (anterior rhinomanometry) は別に鼻腔通気度測定装置を必要とする。本試験に対する感度は良好で鼻粘膜反応のみを評価するには最も適していた。