耳鼻咽喉科展望
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上顎洞異所性歯牙の1症例
鷹合 秀輝原口 秀俊野口 佳裕角田 篤信前原 浩史小松崎 篤
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1998 年 41 巻 1 号 p. 67-70

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抄録

上顎洞異所性歯牙の1症例を報告した。主訴は後鼻漏であった。単純レントゲンにて右上顎洞内に異常陰影を認め, CTにて骨と同じdensityをもつ腫瘤を認めた。内部には歯髄を思わせる低吸収域を伴っていた。Helical-CTにより, 腫瘤は下壁から後壁にかけ茎を有し, 洞壁と連続していることが確認できた。以上の所見より, 異所性歯牙の可能性が高いと思われたが, 骨腫なども否定できず, また慢性副鼻腔炎も合併していたため, 摘出術を施行したところ, 結局臼歯様の歯牙であった。発生学的には幼少時に翻転した上顎智歯の歯胚が, 後にそのまま上顎洞内に萌出したものと考えられた。

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