耳鼻咽喉科展望
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実験的顔面神経障害後の運動神経細胞および周囲の変化
窄中 香織
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1998 年 41 巻 3 号 p. 209-224

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抄録

神経軸索障害後の神経の変性, 再生の機序を探る目的で顔面神経障害後の神経核の形態学的変化を検討した。顔面神経末梢軸索障害モデル (側頭骨外顔面神経圧迫および切断モデル) と, 中枢軸索障害モデル (脳内根切断モデル) を作成し, 運動神経細胞とその周囲の変化について免疫組織学的および電子顕微鏡的に観察した。さらにグルココルチコイド投与の影響について併せて検討を行った!その結果, 軸索障害後アストロサイトの活性化やsynaptic strippingが認められ, 運動機能が回復した後も引き続き観察された。これらの反応は障害程度が強いほど強く, 期間も長く認められた。また中枢軸索障害後では明らかに強い反応が認められ, さらにほとんどの神経細胞が細胞死に陥ることが分かった。グルココルチコイドの投与によりこれらの反応は抑制された。以上より顔面神経麻痺モデルは, 軸索障害後の神経細胞死や神経の再生過程を検討する上で有用な実験系であると考えられる。

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