耳鼻咽喉科展望
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鼻内内視鏡下に摘出し得た上顎洞歯性異物の3症例
川原 結華春名 眞一添田 一弘波多野 篤森山 寛関 博之志和 成紀
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1998 年 41 巻 5 号 p. 496-501

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抄録

上顎洞歯性異物を3例経験した。その内訳は根幹充填剤2例, インプラント1例であり, 全例が内視鏡下鼻内的に摘出し得た。異物の侵入経路は左上顎第一大臼歯, 右上顎第二大臼歯, 左第一小臼歯のそれぞれの歯窩経由と考えられ, 過去の報告例と類似した傾向であった。最近の上顎洞発育の増大傾向と, それによる上顎洞底と歯根の接近, 歯科治療の普及とともに, 異物は外傷性に代わって医原性, 特に歯科領域のものが増加している。そのため異物摘出の患者への説明は十分な配慮を要し, また, 摘出法は侵襲度の低い鼻内法が有効であると考えられた。

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