耳鼻咽喉科展望
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耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるナビゲーション手術
友田 幸一村田 英之下出 祐造本城 史郎石政 寛鈴鹿 有子
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1998 年 41 巻 5 号 p. 502-507

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抄録

ナビゲーションシステムは, 手術部位をCTやMRIの画像上にリンクさせ, 術者がみている位置とターゲットとの位置関係をリアルタイムに知らせる最新の手術支援装置である。本システムには現在機械式アーム型, 光学式センサー型, 磁気式センサー型, 超音波センサー型の四つの方式がある。それぞれの特徴は本文中で述べるが, いずれもその精度は2mm前後で確実なtargetingが行える。本システムを耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術に応用することで, 解剖学的指標のはっきりしない再手術例や合併症を起こす危険性のある部位に病変が及ぶ例, またできるだけ低侵襲手術をめざす場合に, より安全で確実な手術が望めるものと考える。具体的に, 耳科領域では側頭骨内の重要な器官の位置確認, 鼻・副鼻腔領域では眼窩や頭蓋底などの危険部位からの回避, 残存蜂巣の確認, 術後性嚢胞での開放位置確認など, 頭頸部腫瘍については, 術前治療前の状態を再現でき, 安全域を含めた腫瘍の切除範囲を決定できるなど, その他後鼻孔閉鎖症, 外耳道閉鎖症などの奇形手術, 骨折の修復, 頭蓋底手術, 生検, 神経ブロック, 手術解剖の修得とトレーニングなどで有用であると考える。

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