耳鼻咽喉科展望
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喉頭ネブライザー療法における粒子沈着特性と最適条件の検討
高野 頌金村 行倫仁科 修治伊藤 正行兵 昇
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1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 8-12

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抄録

喉頭部位への薬剤粒子沈着は声帯の開閉度や呼吸パターンなどに依存することが知られている。これらの因子に加えて, 喉頭蓋の高さをも考慮した喉頭モデルを用いて, 喉頭部位をターゲットとするエアロゾル吸入療法の最適条件を検討した。喉頭領域での粒子沈着率の数値解析結果から, 浅い呼吸の場合, 粒子沈着は声門開口角に強く依存した。すなわち, 声門開口角がわずかに開口しているときに粒子沈着率は著しく増大し, 粒径が8~10μm付近で極大値を示した。逆に, 声門開口角が大きいほど粒子沈着率は減少し, 下気道への粒子輸送が増加した。また, 喉頭蓋における粒子沈着率はその高さによつてわずかに変化した。これらの数値解析結果は単分散カーボン粒子を用いた実験結果とも定性的に同一の傾向を示し, したがって喉頭モデルにより局所粒子沈着率の評価ができることを確認した。

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