耳鼻咽喉科展望
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鼻と涙道疾患
鼻・副鼻腔疾患と涙道閉塞との関連
上岡 康雄
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1999 年 42 巻 2 号 p. 198-202

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抄録

涙腺より分泌された涙液は眼球の表面で涙液膜を形成し生理機能を果した後, 涙道を介して鼻腔へ排泄される。涙道の閉塞によってこの導涙機能が傷害されると流涙症をきたす。涙道閉塞の大部分は, 特に女性においては原因の明らかでない原発性後天性鼻涙管閉塞であるが, 涙道が解剖学的に鼻腔・副鼻腔と隣接しているため, 様々な鼻・副鼻腔疾患が原因となって続発性後天性涙道閉塞を生ずることが知られている。鼻炎, 副鼻腔炎, 腫瘍, 外傷, 手術時の鼻涙管損傷等がその原因としてあげられるが, 中でも副鼻腔炎およびその治療として行われる内視鏡的鼻内副鼻腔手術は頻度が比較的高く重要である。涙道閉塞の治療として涙嚢鼻腔吻合術 (DCR) 鼻外法は成功率がきわめて高く, 内総涙点閉塞等涙嚢内の閉塞にも対処が容易で最も優れた術式である。しかし, 術前, 術後とも耳鼻科・眼科の連携による管理が手術を成功させるために必須である。

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