耳鼻咽喉科展望
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慢性副鼻腔炎に対するレボフロキサシン (LVFX) の有用性の検討
中島 庸也森山 寛富谷 義徳冨田 寛石山 浩一木田 亮牧山 清鴫原 俊太郎飯田 英信野村 恭也洲崎 春海鈴木 淳一矢部 多加夫武田 永勇中本 吉紀加知 健次郎石井 哲夫高山 幹子吉原 俊雄市川 銀一郎神崎 仁井上 康宏小田 恂舩坂 宗太郎新井 雅之八木 聰明堤 昌巳長谷川 誠浜田 利彦
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1999 年 42 巻 3 号 p. 333-342

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抄録

レボフロキサシン (LVFX) の慢性副鼻腔炎に対する有効性および安全性と組織移行性を検討した。対象は平成6年12月から平成8年3月まで, 東京都内の大学病院13施設の耳鼻咽喉科に受診した112例のうち副作用評価は108例で行い, 臨床効果は86例で検討した。組織移行の検討は13例で行った。臨床効果は有効率は57% (49/86) で, レ線所見の改善率は36.4%であった。慢性副鼻腔炎からの分離菌は24菌種84株で, LVFXに対する菌株全体でのMIC80は1.56μg/mlであった。細菌学的効果は50株中36株 (72%) にて菌消失が得られた。副作用は7.4% (108症例中8症例) に認められた。LVFXの副鼻腔組織への移行度は100mg投与6例で120分後1.14±0.99μg/g, 180分後1.38±0.80μg/gであり, 200mg投与7例では120分後2.55±1.67μg/g, 180分後2.98±1.42μg/gであった。臨床効果およびLVFXの組織移行濃度が検出菌のMIC80を上回ることより慢性副鼻腔炎に対しLVFXが臨床的に有効であると示唆された。

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