耳鼻咽喉科展望
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鼻副鼻腔疾患における呼気中NO濃度について
松脇 由典春名 眞一深見 雅也吉見 充徳森山 寛
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1999 年 42 巻 4 号 p. 358-367

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抄録

近年, 気道系とくに上気道でのNOの産生が明らかとなり, その作用の一部として気道粘膜線毛運動の制御作用, 抗菌, 抗ウイルス作用などが報告されている。
今回我々は, 鼻副鼻腔疾患を, 1) 鼻中隔弯曲症群, 2) 慢性副鼻腔炎群, 3) アレルギー疾患群の3群にわけ, それぞれの呼気中NO濃度を口腔経由, 外鼻孔経由, 術前, 術後に測定し比較検討した。アレルギー疾患群の外鼻孔経由呼気中NO濃度は, 慢性副鼻腔炎単独群, 鼻中隔弯曲症単独群と比較して有意に高値を示し, アレルギー疾患においては鼻副鼻腔で産生されるNOが何らかの役割をもっていると考えられた。また内視鏡下鼻内手術後早期には呼気中NO濃度は減少し, その後上昇した。術後6ないし12ヵ月では, アレルギー疾患群では術前より低値を, 慢性副鼻腔炎疾患群では高値を示す傾向があった。
また慢性副鼻腔炎群, アレルギー疾患群を対象とした免疫組織学的検討においては, iNos抗体では上皮線毛周囲に強陽性像を, 杯細胞, 腺組織に陽性像を認め, またeNOS抗体では血管内皮細胞, 血管平滑筋に陽性像が観察された。

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