1999 年 42 巻 4 号 p. 368-373
メニエール病とメニエール病以外の症例において蝸電図検査を行った。刺激音を小さくしていくときに認められる, CMの潜時の遅れ (delayed CM) について検討した。delayed CMは1,000Hzトーンバースト刺激のほうが, 500Hzトーンバースト刺激より認めやすかった。delayed CMを認めた症例は, delayed CMを認めない症例より平均聴力が良好で, AP振幅も大きい傾向にあった。500Hzトーンバースト刺激では低音域の保存されている症例でdelayed CMを認めやすく, 1,000Hzトーンバースト刺激では高音域が保たれている症例にdelayedCMを認めやすかった。メニエール病とメニエール病以外の症例の間では, delayed CMの出現の有無において, 差異は認めなかった。