耳鼻咽喉科展望
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喉頭結核の3症例
稲葉 岳也志和 成紀内田 亮浅香 大也中村 将裕松井 真人中島 康博山口 展正
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1999 年 42 巻 4 号 p. 385-390

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抄録

喉頭結核の3症例を経験した。すべての症例に喀痰から結核菌が検出され, 胸部X線上, 肺野に陰影を認めたため, 肺結核に合併した喉頭結核と診断された。症例1は声帯に肉芽腫様病変を認めたが, 抗結核剤による内科的治療が有効で, 喉頭所見も著明に改善した。症例2は声帯の肉芽腫様病変からの組織診にて, 典型的な病理像を示した。症例3は仮声帯から声帯にかけて白苔が付着し, 声門下より多量の喀痰が喀出されていたため, 早急に内科的治療を開始したが粟粒結核による呼吸不全によって不幸な転帰をとった。喉頭結核は肺結核に合併することが多いため喀痰より結核菌が検出されることが多い。また, 喉頭に結核菌が存在しているため, 喉頭を診察する際や, 生検の際に検者が感染する可能性がある。また, 肉芽腫様病変を示すことが多いため, 肉眼的に悪性腫瘍との鑑別を要することがある。診断に至る期間が長期にわたるほど集団発生の危険も高率化し, 新たな患者発生を招くなど多くの問題をはらんでいるため, 早期診断, 早期治療が必要である。

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