耳鼻咽喉科展望
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埋伏過剰歯牙であった固有鼻腔内逆生歯牙の2症例
山内 大輔綿谷 秀弥上田 成久志賀 伸之湯田 文朗江良 謙次
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1999 年 42 巻 6 号 p. 604-608

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抄録

正常な歯牙は歯列内のそれぞれ正常な位置に萌出するが, ときには歯列からはずれた位置に萌出することがある。この状態を歯牙の転位と呼び, その中で歯冠が正常の萌出方向と全く逆の方向に向かっているものを逆生歯牙と呼ぶ。固有鼻腔内逆生歯牙は1754年, Albinusによりはじめて報告され, 本邦では1901年金杉による報告以来138例の報告がある。我々は平成10年6月から同年11月の半年間に固有鼻腔内逆生歯牙2症例を経験し, 手術を施行した。2症例はいずれも10歳前後の男児であり左右1症例ずつで埋伏過剰歯牙あった。これらは全身麻酔下内視鏡下に鼻内より炭酸ガスレーザーを用いて摘出し, 病理組織学的に歯牙であることが確認された。外観上エナメル質形成不全があり, 慢性炎症に起因する石灰化不全型であると考えられた。鼻出血や鼻石を来たす原因となること等により, 発見後早期に摘出すべきとされている。

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