耳鼻咽喉科展望
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鼻ネブライザー療法の薬効評価と有用性
鈴木 賢二馬場 駿吉
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1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 195-199

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抄録

副鼻腔炎に対する局所的化学療法としてのネブライザー療法は, その簡便さと安全性から日常診療において広く活用されている。これまで我々は超音波型およびジェット型ネブライザーを用いて抗菌剤エアロゾルの鼻腔・副鼻腔への移行につき検討し, ネブライザーによる抗菌剤の噴霧は中鼻道, 上顎洞自然口の病態改善に有用であり, 鼻腔内の病態が改善すれば上顎洞内への充分な薬剤の移行が期待でき, 極めて安全で有用な治療法であることを示してきた。しかしその臨床的薬効評価は充分普及しているとは言い難く, 鼻ネブライザー療法の効果判定基準の確立と普及が待たれるところである。
今回我々は鼻ネブライザー療法の簡易判定基準の確立を目指し, これまで開発治験で使用し, 臨床的にも活用している自覚症状・他覚所見の評価基準を示し, 臨床効果判定のクライテリアを紹介し, さらにその効果判定に従った臨床成績も呈示した。総合的に検討して'自覚症状として頭痛 (頭重) ・鼻漏・鼻閉, 他覚所見として鼻汁量・鼻粘膜腫脹・鼻汁性状からなる6観察項目を点数化する臨床応用可能な簡易判定基準を示した。これらの評価・判定には鼻腔内所見や鼻汁の性状判定など耳鼻咽喉科の専門的知識・判断が必要で, その意味から鼻ネブライザー療法は耳鼻咽喉科専門医の監督指導のもとに行われるべきで, 上気道のネブライザー療法もこれに準ずると考えられる。

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