耳鼻咽喉科展望
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慢性副鼻腔炎を合併した下垂体腫瘍に対する篩骨洞・蝶形骨洞経由内視鏡手術
春名 眞一鴻 信義佐野 真一森山 寛神尾 正巳
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2000 年 43 巻 3 号 p. 192-198

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抄録

下垂体腫瘍に対する篩骨洞・蝶形骨洞経由内視鏡手術 (endoscopic transethmoidal・trans-sphenoidal apProach) は明るく広い視野で蝶形骨洞全体のみならず, 種々の視野角の内視鏡を用い鞍内を観察し残存腫瘍なく手術を施行できる。さらに最大の特徴は後日同じルートを使って容易に再手術が可能であることである。慢性副鼻腔炎を合併した下垂体腺腫では鞍内に感染の危険性があり, 一期的な手術は禁忌である。まず慢性副鼻腔炎の手術を行い病態の改善を待ってから腺腫の手術をすべきであり, この場合, 篩骨洞・蝶形骨洞経由法を選択すれば, 慢性副鼻腔炎の手術後に下垂体腫瘍に対しても同じルートを用いて再開放することなく, 手術可能である。
今回, 副鼻腔条を合併した下垂体腫瘍3例に対して, 第一に内視鏡下鼻内手術を施行し, 副鼻腔粘膜の良好な上皮化を認められた数ヵ月後に同じルートを用いて下垂体腫瘍を摘出できた。したがって, 慢性副鼻腔炎を合併した下垂体腫瘍などの再手術が必要と予期される症例には節骨洞・蝶形骨洞経由内視鏡手術は, 有効なアプローチ法であると考えられた。

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