2000 年 43 巻 6 号 p. 517-520
症例は, 75歳, 男性である。主訴は頬部腫脹であった。内服加療を行うも改善せず, 当科紹介初診となった。シンチグラム, CT, MRI, 血管造影を施行し腺腫や血管に富んだ右耳下腺腫瘍を疑い, 手術を施行した。咬筋内に腫瘍を認め, 咬筋とともに合併切除した。腎癌の治癒歴があり組織型が腎癌と一致したため, 転移性腎癌と診断した。術後, インターフェロンの治療を2年間行い, 今もなお健在である。
腎癌の頭頸部領域への転移は決して稀ではなく, 文献的考察を含めて報告する。