耳鼻咽喉科展望
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シェーバーを用いた上顎洞病変に対するFenestration法
手術成績と問題点
稲葉 岳也柳 清飯村 慈朗今井 透森山 寛
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2000 年 43 巻 6 号 p. 521-527

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抄録

我々は通常のEndoscopic Sinus Surgeryだけでは治癒しない上顎洞の難治性粘膜病変, すなわち後鼻孔ポリープを含む易再発性のポリープ, 喘息を伴い上顎洞粘膜全体が浮腫状に肥厚している症例, 巨大な粘液嚢胞などに対して上顎洞前壁にコントロールホールを設け, そこからシェーバーのブレードを挿入し, 粘膜病変を吸引除去する方法 (fenestration法) で手術を行ってきた。
結果は96%の症例で粘膜病変は内視鏡下に正常所見を示し再発を見ていない。手術成績は良好であったため, 本術式が有用であったと考えることができる。合併症としては全35例中で一時的な上口唇の部分麻痺が2例, 上顎洞前壁のコントロールホールを作製する際に上顎洞後壁を傷つけ, 顎動脈から出血した症例を1例経験したので, これまでの成績と問題点につき検討した。

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