2001 年 44 巻 2 号 p. 154-159
スギ花粉症を持つボランティア16名を対象に, 塩酸セチリジンによる初期療法の開始時期と有効性を検討した。飛散開始日約2週間前の無症状期から内服を開始する前投与群8名と症状発現後5日以内に内服を開始する治療投与群8名の症状経過を比較した。くしゃみに関しては両群間で差は認められなかった。鼻汁に関しては全体に前投与群の方が軽く, 特に飛散ピーク後に両群問で有意差が認められた。鼻閉は前投与群の方がシーズンを通して軽く, 特に飛散ピーク時に有意差を認めた。日常生活の支障度では飛散ピーク時に有意差が認められたものの全体としては明らかな差は認められなかった。
以上より, 塩酸セチリジンはスギ花粉症の即時相反応には速効性が期待でき, また, 飛散開始日前からの内服開始により鼻閉の改善にも有用であることが示唆された。