2001 年 44 巻 3 号 p. 174-179
ニルバジピン (ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤) のモルモット単離前庭有毛細胞内Ca2+濃度に及ぼす影響をカルシウム感受性蛍光色素Fura-2を用いて検討した。KCl刺激による脱分極で開く電位依存性Ca2+チャネルが, ニルバジピンの10-6Mの濃度でブロックされ, Ca2+の流入が抑制されたことから前庭有毛細胞にL型のCa2+チャネルが存在すること, またニルバジピンがCa2+の上昇による細胞死を軽減する可能性のあることが示唆された。ニルバジピンは内耳微小循環を改善し, さらに虚血などによる細胞内Ca2+濃度の急激な上昇を抑制し, その他抗酸化作用などを有し, 臨床的に難聴, めまいなどの内耳疾患の治療に有効な薬剤と考えられる。