耳鼻咽喉科展望
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睡眠呼吸障害に対する耳鼻咽喉科医としての対応
小児例を中心に
石塚 洋一
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2001 年 44 巻 4 号 p. 252-268

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抄録

小児の睡眠呼吸障害はいびきが主症状で, 上気道狭窄の治療がその基本となる。小児の気道は喉頭の位置が高く, 舌が完全に口腔内にあり, 舌後半部が上方に位置している。このため鼻呼吸障害が起こり, 口呼吸をしたとき十分に気道が確保されないため, 口呼吸では有効な換気が得られない。従って小児の睡眠呼吸障害は短期間に合併症を起こしやすく, 早期に手術を含めた対応が必要になる。中でもアデノイド増殖症, 口蓋扁桃肥大が原因として多く, 低年齢ほどSaO2の低下が顕著になるため, 問診, 視診, X線検査を参考にし, 保存的治療を行いながら手術的治療の判断を早期に行うことが肝要である。SaO2の測定は小児の睡眠呼吸障害の重症度を判定するのに有用である。この他, 鼻アレルギー, 副鼻腔炎による睡眠呼吸障害に対しても手術的治療を念頭においた対応が必要である。上気道を扱う耳鼻咽喉科医としては, 睡眠呼吸障害の診断や治療に積極的に参加していくべきと考える。

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