2001 年 44 巻 4 号 p. 269-273
当科ではSilverstein顔面神経モニター・刺激装置を耳手術中に用い, 顔面神経の損傷防止に役立てている。今回この装置を用い術中の顔面神経の状態と反応電流閾値との関係を検討し本装置の有用性を考察した。
対象は当科で耳手術を行った31例とした。術中顔面神経水平部の状態を把握し, 骨欠損のないもの, 骨欠損があるが軟部組織による被覆のあるもの, 骨欠損があり神経が露出しているものの3群に分け, それぞれの反応電流閾値を計測した。
各群問の反応電流閾値に高い有意差を認めた。本装置を耳手術中に用いることにより, 顔面神経管の骨欠損有無の推定, 骨上からの神経走行の同定, 軟部組織に被われた神経の同定が容易になるものと考えられた。