耳鼻咽喉科展望
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鼓膜に穿孔を認めた真珠腫性中耳炎の検討
二次性真珠腫の成因についての一考察
松井 和夫窪田 哲昭竹村 栄毅永瀬 大林 泰広春日 将夫
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2001 年 44 巻 5 号 p. 345-350

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抄録

二次性真珠腫が存在すること及びその成立の機序について考えた。1991年7月から1997年6月までの6年間において, 我々が手術を行った耳手術の症例413耳について, そのビデオで記録した鼓膜所見と手術所見を調査して, 鼓膜に穿孔を認めた真珠腫を検討した。先天性真珠腫で鼓膜に穿孔を認めたのは1/8 (12.5%) であった。後天性真珠腫で鼓膜穿孔があったのは9/141 (6.4%) であった。
鼓膜に中心穿孔があり, 穿孔縁あるいは鼓膜穿孔の周囲に真珠腫を認めたのは8耳で, それゆえ, 中心穿孔性真珠腫 (二次性真珠腫) は中心穿孔性慢性中耳炎142耳のなかで8耳存在した。二次性真珠腫の成因説として, 上皮侵入説と上皮化生説が知られている。8耳を検討して上皮侵入説と考えられる症例は2耳あった、, 上皮化生説と考えられる症例はなかった。我々は二次性真珠腫と考えた6耳を検討して, ツチ骨先端あるいはツチ骨柄の上皮が炎症の存在により増殖して上鼓室側の鼓膜裏面に侵入し, 時間の経過とともに真珠腫が増殖し, ツチ骨先端は消失していくtypeの中心穿孔性真珠腫の存在を考えた。

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