耳鼻咽喉科展望
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みずかき様口蓋垂 (Webbed Uvula)
その臨床像と組織像
榎本 仁司
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2001 年 44 巻 5 号 p. 351-358

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抄録

高度のいびきを主な症状とする患者で, 両側後方にみずかき状の膜を有する口蓋垂が口からの強い呼気により風をはらんだ帆 (full sai1) のように膨らんで, はためく状態になる症例を経験し, その時の形から「みずかき様口蓋垂」 (Webbed Uvula) と名付けた。治療としては, 口蓋垂は温存し両側の膜を切除し, 咽頭の形態をできるだけ正常に近い状態に修正することによりいびきを完全に治癒させることができた!病理組織学的に, この膜には漿液腺, 粘液腺および導管といった腺組織が全く見られないという興味深い特徴が見られた!本症は稀な疾患ではないが, 今回私が検索し得た範囲の文献にはこのような所見についての記載は見当らなかった。
51歳男性と73歳男性の2症例を報告し, 本疾患の臨床的, 組織学的特徴について述べるとともに, この膜様組織の由来について考察した。

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