耳鼻咽喉科展望
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当科アレルギー外来の患者動向
減感作療法の施行状況について
大森 剛哉宇井 直也茂呂 八千世野原 修永倉 仁史小澤 仁小野 幹夫今井 透遠藤 朝彦森山 寛
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2002 年 45 巻 4 号 p. 270-275

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抄録

1996年から1998年までの慈恵医大耳鼻咽喉科アレルギー外来初診の患者 (男性261名, 女性266名) を対象に疫学的解析を行い, 治療法の選択, 減感作療法の治療経過について検討した。当外来受診者は, 既に対症療法を受けたことがあるものの効果が不十分であった症例が多く, 他院に紹介した例も含めて80.8%の症例が減感作療法を開始した。減感作療法の施行に際しては, 方法や効果の発現には時間を要する点などを説明し, 承諾を得た上で開始しているが, 当院にて減感作療法を施行した143名の治療経過を見ると, 維持量に満たないまま中断している脱落例が34.3%見られた。維持量到達例は脱落例に比し, 内服薬使用が少なく, 症状の軽減が示唆された。アレルギー性鼻炎の治療に際しては, 重症度, 症状のタイプ, 患者の希望やライフスタイルなど考慮の上で治療法を選択していく必要がある。減感作療法の施行については患者とのコミュニケーションを図り, 脱落しないよう対策を立てることが必要だが, 患者にとって通院, 注射等, 負担の少ない免疫療法の実用化が今後望まれる。

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