耳鼻咽喉科展望
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PISP (Penicillin Intermediate Streptococcus Pneumoniae) による急性乳様突起炎の症例
井上 真規小勝 敏幸堀内 長一佃 守
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2002 年 45 巻 6 号 p. 469-472

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抄録

抗生剤の乱用による薬剤耐性菌の出現によって, 急性乳様突起炎は近年増加してきているといわれている。今回, 側頭骨骨膜下膿瘍からPISPが検出された急性乳様突起炎の1症例を経験したので報告する。症例は10ヵ月の女児で右耳後部腫脹を主訴に当院を受診し, CTにて右乳突部の骨膜下および乳突蜂巣に陰影を認め, 急性乳様突起炎と診断した。耳後部の切開排膿を行い培養にてPISP (Penicillin Intermediate Streptococcus Pneumoniae) が検出された。入院の上, 抗生剤点滴を行い症状は改善した。急性乳様突起炎の起炎菌としては肺炎球菌が最も多いが, 抗生剤の乱用によりPISP, PRSP (Penicillin Resistant Streptococcus Pneumoniae) による感染症が激増しているため適切な抗生剤選択を行う必要があると思われた。

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