耳鼻咽喉科展望
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鼻中隔後端部形成不全
鼻中隔のvariation (変異)
榎本 仁司
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2003 年 46 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

鼻中隔蛮曲症以外の鼻中隔の奇形やvariation (変異) は一般に馴染みが薄く, 記載のある文献も極めて少ないようである。
今回, 私は経鼻的内視鏡検査の際に認識された「鼻中隔後端部形成不全」と称呼し得る3症例 (42歳男性, 83歳女性, 24歳女性) を鼻中隔の一つのvariationとして報告したい。
これらの症例には, 経鼻的内視鏡検査において, 反対側の鼻腔後部や耳管咽頭口などを見ることができるという解剖学的特徴がある。そして, CT画像での計測値から, 通常例に比し鋤骨の前後径が非常に短く, かつ鼻中隔後端から上咽頭後壁までの距離が極めて長いという興味ある所見が得られた。また, CT三次元画像では鋤骨後端が欠損しているかのようにアーチ状に前方に強くえぐれており, 内視鏡所見とよく一致している。そして, 今回報告した3症例すべてに高度の鼻中隔湾曲 (症) と著明な鼻咽腔粘膜の慢性炎症所見の合併が見られた。

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