抄録
愛知県がんセンタ-では頭頸部癌による嚥下障害へのよりよい対応を目指して, 頭頸部外科と5階東病棟が協力して頭頸部癌術後の嚥下障害に取り組める体制を構築した。それは術後からの対応ではなく, 治療法決定時から積極的に患者に関わっていくものである。切除再建の情報をもとに嚥下造影検査によって診断した病態に応じた訓練法を選択し, 病棟看護師の協力を得てリハビリテ-ションプログラムを実行した。1996年から2002年までに術後嚥下障害のリスクがあると考えられた頭頸部癌患者239例中229例で経口摂取を獲得した。とくに難治例32例に対しては間歓的径管栄養法を導入し, 25例で経口摂取可能となった。これは直接的な訓練効果も認められる他, 口腔咽頭衛生上も有利であり, 早期社会復帰を実現できる方法と思われた。