耳鼻咽喉科展望
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扁桃周囲膿瘍の臨床的検討
金林 秀則小川 恭生山西 敏朗藤田 博之河野 淳鈴木 衞
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2003 年 46 巻 4 号 p. 284-288

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抄録

扁桃周囲膿瘍は, 早期の穿刺吸引や膿瘍切開などの処置とともに, 強力な化学療法を必要とする疾患である。今回われわれは1999年1月-2001年7月までの2年7ヵ月の問に扁桃周囲膿瘍と診断された100症例について検討した。なお, このうち穿刺, 切開にて排膿を認めた確実例は63例, 排膿を認めなかったもの, および不明の37例が非確実例であった。男女比は2.2 : 1であり, 84例 (84.0%) は外来通院, 16例 (16.0%) は入院加療を行った。100例中48例 (48.0%) に膿瘍切開を行い, 29例 (29.0%) は穿刺排膿, 23例 (23.0%) は保存的に治療した。多くはペニシリン系ないしセフェム系薬剤にクリンダマイシンを併用した点滴静注を行った。各治療群で全身状態の改善に要した期間に明らかな差はなかった。検出菌としては, 好気性菌ではa-Streptococcusが最も多く (547%), 嫌気性菌ではPeptostreptococcus属が多く検出された (2.7%) 。近年, 嫌気性菌の検出頻度は高く, 嫌気性菌感染を充分考慮した抗生物質の投与が必要である。また, 穿刺排膿で充分との報告もあるが, 成熟した膿瘍では切開排膿, ドレナージが疹痛緩和や嫌気性菌の深頸部感染阻止の意味でも必要と考えられる。

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