耳鼻咽喉科展望
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好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎との関連性について
春名 眞一吉川 衛鴻 信義森山 寛
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2003 年 46 巻 6 号 p. 472-480

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抄録

好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎を合併した症例と好酸球性中耳炎を合併しない好酸球性副鼻腔炎症例における臨床経過を比較し, 両者の関連性および内視鏡下副鼻腔手術後の中耳病変の推移について検討した。対象は好酸球性副鼻腔炎175例であり, その内, 好酸球性中耳炎の合併は19例34耳 (10.8%) で, 両側耳に病変を呈したものが約3/4を占めた。CT画像, 内視鏡所見, 非特異的総IgE値 (RIST法), 抗原特異的IgE値, 血中および中鼻道粘膜表層ECP濃度を比較したが, 好酸球性中耳炎合併群と非合併群との問には明らかな差は認められなかった。したがって好酸球性副鼻腔炎の重症度と好酸球性中耳炎発症との関連性は認められなかった。内視鏡下鼻内副鼻腔手術後4ヵ月の時点では, 副鼻腔粘膜の改善と平行して中耳粘膜と耳管機能も改善するなど, 副鼻腔所見を良好に保つことで好酸球性中耳炎の病態の改善に有効性が示された。しかし, 術後1年以上経過すると, 節骨洞粘膜の不良化を認める症例においては粘稠性耳漏が出現し, 耳管機能は不良化する傾向にあった。これらの結果から長期的に好酸球性中耳炎をコントロールするためには, 好酸球性副鼻腔炎が不良化した場合に, 副鼻腔病変を良好に保つ局所治療を繰り返すことが重要と考えられた。

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