耳鼻咽喉科展望
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小児急性中耳炎の鼓膜所見に対する病期分類の試みとその検証
その2
上出 洋介
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2004 年 47 巻 1 号 p. 31-42

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抄録

急性中耳炎鼓膜の経時的変化を画像データベースに保存することは極めて有益である。5年分の保存した鼓膜画像をもとに急性中耳炎を5段階に分類, 提唱し, それを用いて患児の経過をstage分類で評価した。対象は1999年9月1日から2001年8月31日までに, 当院を受診した0歳から6歳の乳幼児で急性中耳炎と診断された811名である。内訳は0歳168名, 1歳148名, 2歳81名, 3歳147名, 4歳134名, 5歳78名, 6歳55名である。初診時以後5日目, 10日目, 2週間目, 20日目に観察した。
初診時0, 1歳では増悪した状態であるstage4と5が約半数を占めていた。2~6歳ではstage4と5は25%にまで減少した。急性中耳炎はどの年齢においても炎症が一度始まってしまうとstage3程度にまでは進行することが多いことがわかった。
0~1歳では50~60%が20日以内に治癒する一方で25%前後が2ヵ月かそれ以上の治療期間が必要であった。stage5では2ヵ月を経ても約90%しか治癒しなかった。2~3歳ではstage1の場合20日以内に90%が治癒し, stageが進行してもほとんどの例が2ヵ月以内に治癒した。

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