耳鼻咽喉科展望
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巨大蝶形骨洞嚢胞の1例
嶋根 俊和油井 健史寺崎 雅子
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2004 年 47 巻 4 号 p. 248-252

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抄録

後部副鼻腔は解剖学的に視神経をはじめ, 動眼神経, 滑車神経, 外転神経, 内頸動脈および海綿静脈洞などと近接しており, この部位の炎症やここに生じた嚢胞の圧迫により様々な症状が出現するため多くの患者が耳鼻咽喉科よりも脳神経外科や眼科を受診する。早期に視力障害を訴えて眼科を受診したにもかかわらず, 原因不明の視神経萎縮と診断され高度な視力障害を残しながらも通院治療を継続していた患者が, 検診で脳のMRIを撮影したところ巨大な蝶形骨洞嚢胞を指摘され, 視神経萎縮の原因が約3年後に判明した症例について報告する。嚢胞は蝶形骨洞から発生し左視神経を完全に圧排し右視神経にも近づいており上方では頭蓋底の骨の消失が認められ, 下方は鼻腔内にまで進展していた。本症例に対し内視鏡下鼻内副鼻腔手術を施行したが視力の改善は認められなかった

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