2005 年 48 巻 1 号 p. 41-45
Nasal continuous positive airway pressure (n-CPAP) は, 睡眠呼吸障害に対する保存的治療法であり, 高い有効性が認められている。今回我々は, n-CPAP使用時のみに耳管開放症の症状を呈した睡眠時無呼吸症の1例を経験した。症例は48歳男性, 重度の睡眠時無呼吸症候群と診断されn-CPAPを開始したが, その直後より耳閉感が続くため精査目的に当科を受診した。聴力, 鼓膜所見は正常であったが, 耳管機能検査にて潜在性の耳管閉鎖不全が認められ, n-CPAP圧負荷により耳管開放症の症状が生じたと考えられた。そこでn-CPAP施行時の耳管音響法を測定し, n-CPAPによる中耳及び耳管機能への影響とその関連性につき若干の文献的考察を加え報告した。