耳鼻咽喉科展望
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難治性の外耳道炎・鼓膜炎の検出菌種と点耳薬としてのブロー液 (酢酸アルミニウム液) の治療効果について
優れた有効性とその製法
榎本 仁司
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2005 年 48 巻 4 号 p. 246-252

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抄録

一般の治療に抵抗し経過が遷延する難治性の外耳道炎・鼓膜炎38例53耳を日本薬局方に則って作製した7-8%ブロー液 (酢酸アルミニウム液) にて治療した。
全38例からMRSA, 緑膿菌, β-lactamase (+) 黄色ブドウ球菌, 真菌など菌交代現象に関連する菌種がいずれも高率に検出され, 難治性の理由が納得できた。
ブロー液はいずれの菌種にも平均して優れた治療効果を示し, 53耳中治癒36耳 (67.9%), 有効8耳 (15.1%), 不変9耳 (17.0%) であった。
菌種別では, 特にMRSAと緑膿菌の治癒率が高く, 真菌に対しても高い効果があることが判明した。そして効果の発現も早い例が多く, かつ点耳時の刺激や疼痛はほとんど見られなかった。
この極めて有効な点耳薬を多くの耳科医に奨めたいと思い, 筆者の実行している製法を記載した。

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