2006 年 49 巻 3 号 p. 124-130
後部副鼻腔嚢胞は解剖学的に眼症状を併発しやすく, ときに緊急手術を必要とすることがある。この症状は耳鼻咽喉科領域ではなく, 眼科, 脳神経外科, 内科領域のことが多く, 患者は耳鼻咽喉科よりも先に他科を受診してしまう。そのため, 耳鼻咽喉科を受診する前に数科を受診したのちに診断がつき, 治療が遅れてしまうことがよく見受けられる。原因不明の球後視神経炎の場合, 副鼻腔疾患が原因のこともあり副鼻腔を含めた画像検査が必要であると同時に, 各科における連携がその後の予後に大きく影響を及ぼすことを認識しておかなければならない。今回, 我々は平成15年4月から平成16年3月までの1年間に眼症状を併発した副鼻腔嚢胞を5例経験したので受診経過や治療, 症状の推移について報告する。