耳鼻咽喉科展望
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ANCA陰性の限局型Wegener肉芽腫症の2症例
中山 次久岡野 晋沖野 容子吉田 拓人宇田川 友克月舘 利治飯田 誠
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2006 年 49 巻 4 号 p. 186-191

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抄録

ANCA陰性のWegener肉芽腫症を2症例経験した。症例1は56歳男性, 咽頭痛および頸部リンパ節腫脹を主訴に受診した。口蓋扁桃, 鼻腔, 肺野に腫瘤性病変を認め, 生検を繰り返したが主要組織所見が得られなかった。ANCAも陰性であったためWegener肉芽腫症と確定診断できず, 上気道および肺の主要症状よりWegener肉芽腫症の疑いと診断した。症例2は, 67歳男性で左眼痛・視力低下を主訴に受診した。当初, 鼻性眼窩内合併症を疑い加療していたが改善せず, 鼻腔内に痂皮の増生も認めたためWegener肉芽腫症を疑い, 生検目的に内視鏡下鼻内手術を施行した。Wegener肉芽腫症に特徴的な組織所見が得られたため, ANCA陰性ではあったが比較的早期にWegener肉芽腫症と確定診断しえた。ANCA陰性の場合, Wegener肉芽腫症を早期に診断するためには病理組織検査が非常に重要であり, 生検を行う際には一見正常と思われる部位も含めて広範囲から採取することが早期診断に結びつくと考えられる。

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