耳鼻咽喉科展望
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選択的動注化学療法施行後に小脳梗塞をきたした中咽頭癌の1症例
富樫 孝文大島 伸介半藤 英
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2007 年 50 巻 5 号 p. 313-317

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抄録

動注化学療法施行後に小脳梗塞を発症した1例を経験した。症例は74歳男性, 咽頭違和感を主訴に受診し, 右軟口蓋に腫脹を認めた。生検で中分化型扁平上皮癌, 中咽頭癌側壁型T2N0M0と診断した。大腿動脈よりSeldinger法にて動注化学療法を施行した直後に一過性の血圧の上昇と右手のしびれ, 発汗を認め, 翌日に後頭部痛と複視を一過性に訴えた。2日後, 見当識障害と構音障害が出現し頭部CTで広範囲の右小脳梗塞を確認した。脳外科治療を行ったが不全麻痺が残った。合併症である脳梗塞を予防するために, 治療に先立ち頸動脈の狭窄を把握することが重要である。

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