Otology Japan
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原著論文
側頭骨への腫瘤形成性白血病の1例
國本 泰臣長谷川 賢作田口 大蔵北野 博也
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2009 年 19 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

腫瘤形成性白血病は顆粒球肉腫(Granulocytic sarcoma)や緑色腫(Chloroma)とも言われ、骨髄細胞由来の腫瘤形成性腫瘍と定義される。今回われわれは、化学療法によって完全寛解と判断されていたにもかかわらず、白血病細胞による側頭骨への腫瘤形成をきたした症例を経験したので報告する。症例は62 歳女性、右耳鳴と右自声強聴を主訴に当科受診した。当初はコレステリン肉芽腫として治療するも改善せず、乳突削開術を施行した際の病理組織学検査で腫瘤形成性白血病と診断された。診断確定後、化学療法施行にて病変は消失し、現在まで16 ヶ月再発を認めていない。このように腫瘤形成性白血病は稀な疾患ではあるが早期診断・早期治療にて予後の改善が期待できるため、まずはこの疾患を認知すること、そして疑わしい症例には積極的に病理組織学検査を行うことが重要であると考える。

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© 2009 日本耳科学会
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