2009 年 19 巻 2 号 p. 146-150
幼少時に耳手術の既往があり、左耳痛、左顔面神経麻痺が生じた真珠腫性中耳炎を伴う頭蓋底骨髄炎例で、保存的ならびに外科的治療にも関わらず不幸な転帰をとった症例を経験した。本症例の特徴として、(1)ステロイド(プレドニゾロン10mg)を内服中であったこと、(2)カルバペネム系抗菌薬以外には耐性のPseudomonas aeruginosaが原因菌であったこと、(3)骨に炎症が波及し悪性外耳道炎にみられる頭蓋底骨髄炎の病態であったこと、がある。画像検査で診断した時点ですでに炎症が錐体尖まで進行し広範囲に拡大していた。可及的早急に外科的治療を行い、感受性のある抗菌薬をより長期間投与すべきであった。