Otology Japan
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原著論文
中耳真珠腫における半規管瘻孔
─瘻孔部位と術後聴力─
森 京子萩森 伸一金沢 敦子野中 隆三郎竹中 洋
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2009 年 19 巻 3 号 p. 173-178

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抄録

当科にて手術加療を行った中耳真珠腫症例175耳中半規管瘻孔例26 耳(15%)、28箇所において、半規管瘻孔の部位や深達度、聴力改善成績、術前後の骨導聴力の変化、前庭症状についての検討を行った。半規管瘻孔は外側半規管にもっとも多く、全症例に認めた。半規管瘻孔の深達度はMilewskiとDornhofferの分類に従って行い、Iが13 箇所(46%)、IIaが9箇所(32%)、IIbが5箇所(18%)、IIIが1箇所(4%)であった。聴力改善成績は評価可能であった16 耳中13 耳が成功で成功率83%であった。骨導聴力は評価可能であった22 耳全例において術後悪化を認めなかった。術前めまい症状を呈した症例は26 耳中14 耳(54%)であり、瘻孔症状を呈した症例は26耳中4耳(15%)であった。術後全例において前庭症状の改善を認めている。半規管瘻孔の処理は全例一期的に行い、骨片および骨パテ、筋膜片、フィブリン糊を用いて瘻孔部の被覆を行った。術前の詳細な評価ならびに術中適切な瘻孔処理を行うことで、骨導聴力を保つことは可能であると考えられた。

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© 2009 日本耳科学会
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