Otology Japan
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原著論文
外耳道・鼓膜再建に薄切軟骨を用いた鼓室形成術の予備的検討:短期成績
國本 泰臣長谷川 賢作田口 大蔵北野 博也
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2010 年 20 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

軟骨は、形状が容易に加工でき安定して生着することより、鼓室形成術において頻繁に用いられる再建材料である。今回我々は、鼓膜と鼓室粘膜との癒着を伴う耳疾患に対する鼓室形成術において薄切した軟骨を外耳道再建に用いると同時に鼓膜再建にも使用し、短期成績ではあるが術後聴力や術後鼓室の再含気化の程度を検討したので報告する。対象は外耳道・鼓膜再建に薄切軟骨を用いた鼓室形成術III型・IV型を施行し、術後6ヶ月以上経過を追えた24 例である。術後6ヶ月以降の聴力を日本耳科学会の聴力改善成績判定案(2000 年)に基づき評価し、鼓室の再含気化は術後6ヶ月以降のCTによって評価した。術後鼓室再含気化の判定はアブミ骨底板周囲の含気化の有無で行った。結果は全体として術後聴力成功率50.0%、再含気化率52.2%であり、過去の報告と比較して差を認めなかった。術後のポケット形成を認めないことより、この術式は鼓膜癒着性病変を伴う耳疾患に対するひとつの選択肢になりうると考える。

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© 2010 日本耳科学会
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