Otology Japan
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パネルディスカッション2 その(1)
私の経験した最悪の手術症例
小宗 静男
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キーワード: 瘻孔, 蝸牛, 髄液漏, 外リンパ瘻
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2010 年 20 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

今までに経験した手術症例の中で反省すべき2症例を提示した。1例は52歳女性で、左慢性中耳炎である。普通の鼓室形成術を行ったが、術中に鼓室岬角に骨欠損とその奥に空間を認め、蝸牛瘻孔とおもわれた。CTを再検すると基底回転に骨欠損を認めた。術後本症例は聾となった。2例目は79歳男性で左の持続性漿液性耳漏を主訴として来院した。外リンパ漏か髄膜脳瘤破綻による髄液漏を疑って手術を行った。最終的には、後者の診断が確定し手術により髄液漏は停止した。しかし、術中、瘻孔部位の同定を誤り、アブミ骨を摘出するという意味のない手術を加えてしまった。このような過ちを起こした最も大きな原因は術前の不十分な画像診断によるもであると考えられた。

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© 2010 日本耳科学会
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