2010 年 20 巻 2 号 p. 73-78
先天性中耳真珠腫は、小児期に発見されることが多く進行性の疾患であり手術加療を必要とする。対象が小児であることなどを考慮すると出来るだけ低侵襲で加療を行うべきである。最近5年間に加療を行った15歳以下の先天性中耳真珠腫は29例であったが、診断用光学機器の進歩などにより早期に発見され、鼓膜前上象限などに限局した先天性中耳真珠腫を多数経験した。我々は、鼓膜前上象限に限局する真珠腫に対しては鼓膜切開にて経鼓膜的に摘出を行う方法、また、鼓室形成術を行った場合、耳後部切開にて経外耳道的アプローチで症例に応じて上鼓室、乳突洞を最小限に削開、その後再建することで比較的低侵襲な加療を行っている。今回検討した結果、良好な成績を得たのでここに報告する。