Otology Japan
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原著論文
当科における聴器癌症例の検討
久世 文也水田 啓介山田 南星安藤 健一青木 光広伊藤 八次
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キーワード: 外耳道癌, 中耳癌, 手術治療
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2010 年 20 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

2000年1月から2008年12月までの9年間に当科で診断した聴器癌12例のうち、一次治療を行った11例について治療成績を検討し、治療法選択について考察した。
年齢は52歳から90歳、平均68歳であった。主病変の部位は、外耳道10例、中耳1例であった。病期は、Pittsburgh 分類でT1 :2例、T2 :3例、T3 :0例、T4:6例であった。
T4 の4例に対して側頭骨部分切除を行い、うち3例で腹直筋皮弁による再建を行った。50Gyの術後放射線照射を行い、1例は原病死、3例は現在まで非担癌生存中である。T1~T2の5例中4例に対して外耳道全摘を行った。1例に対して側頭骨部分切除を行った。1例に対し術後放射線治療を行った。このうちT1の1例で局所再発をきたした。全11例の予後をKaplan-Meier法で求めると、5年生存率は77%であった。
腫瘍進展範囲に応じて適切な術式を選択することで良好な予後を期待することができた。術前、術中の、腫瘍進展範囲の的確な診断が重要と考えられた。

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© 2010 日本耳科学会
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