Otology Japan
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原著論文
迷路気腫を伴った外傷性外リンパ瘻の2例と多断面再構成画像の有効性について
上野 貴雄伊藤 真人杉本 寿史吉崎 智一
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2012 年 22 巻 5 号 p. 833-838

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抄録

今回、我々は経過中に迷路気腫を伴った外傷性外リンパ瘻の2例を経験したので報告する。症例1は、保存加療中に迷路気腫の出現を伴う骨導閾値の上昇を認め、緊急手術となった。術後も骨導聴力の改善は認めなかった。一方、症例2は、受診時から迷路気腫を認めていたが保存加療にて、聴力は完全に回復した。
この2例の相違点は、アブミ骨の前庭内への陥入の程度と、迷路気腫の存在部位であった。症例1はアブミ骨底板の前庭内陥入が強く、「鼻かみ」後に出現した迷路気腫は前庭および蝸牛基底回転に存在していた。一方症例2では、アブミ骨底板の陥入はわずかで、迷路気腫は前庭に限局していた。アブミ骨に沿った多断面再構築 (MPR: Multi Planer Reconstruction) 画像が、アブミ骨の前庭内陥入の程度を評価するのに有用であったので画像を呈示し、手術の時期と術式について検討した。

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© 2012 日本耳科学会
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