Otology Japan
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パネルディスカッション1
側頭骨悪性腫瘍 (聴器癌) に対する超選択的動注化学療法
吉崎 智一近藤 悟遠藤 一平脇坂 尚宏室野 重之杉本 寿史波多野 都伊藤 真人
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2012 年 22 巻 5 号 p. 855-857

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抄録

側頭骨扁平上皮癌は容易に骨浸潤を伴い、それゆえに、放射線抵抗性である。一方で頸部リンパ節転移の頻度は少なく、上顎洞癌と少なからぬ類似点を呈する。2006年までは手術による摘出+術後照射で加療していたがやはりPittsburg分類でStageIII以上のケース、とくにT4症例の局所制御は満足いく結果とはいえないものであった。これらの局所進行例に対して超選択的動注化学療法+放射線同時併用により加療した5症例について、局所制御は80%であった。有害事象は軽微でTPFなどの強力な全身化学療法が施行不能な症例でも、動脈硬化などが著しくなければ施行可能である。一方で頸部リンパ節制御は期待できない。
本法は局所進行側頭骨扁平上皮癌に対する治療選択肢の一つとして考えてよいものと推察する。

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© 2012 日本耳科学会
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