Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
原著論文
弛緩部型真珠腫新鮮例の検討
鈴木 良佐藤 進一大庭 晋西村 一成市丸 和之土師 知行
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 23 巻 5 号 p. 815-820

詳細
抄録

2004年10月から2011年6月までに当科で手術を行った弛緩部型真珠腫新鮮例120例について検討した。当科での鼓室形成術の基本術式はCWU (canal wall up) の一期的伝音再建である。症例は中耳真珠腫進展度分類2010改定案1) に従って分類した。術後聴力成績は伝音再建後の術後聴力成績判定基準 (2010) に従って評価し、真珠腫の再発はCTもしくは鼓膜所見で疑い、再手術時に確認した。術前聴力scale out例、wo例 (without ossiculoplasty)、経過観察中断となった症例を除外した計112例で術後聴力成績を評価し、全体の成功率は91.1%であった。段階的鼓室形成術を15例、弛緩部再陥凹の予防やコルメラの転倒に対する修正手術を5例に行った。段階手術例の第二次手術時の再発は除外すると、再形成性再発が18例、遺残性再発が6例、うち再形成性と遺残性を同時に認めたのが2例であった。Scutumplastyを十分に行うように工夫してから再形成性再発は減少している傾向が見られた。

著者関連情報
© 2013 日本耳科学会
次の記事
feedback
Top