Otology Japan
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原著論文
変動性難聴をきたし内リンパ水腫が推定された高位頸静脈球小児例
水田 啓介林 寿光西堀 丈純久世 文也青木 光広伊藤 八次小塩 勝博
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2013 年 23 巻 5 号 p. 873-877

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抄録

高位頸静脈球による前庭水管骨欠損があり、変動性難聴とめまいを生じた小児例を報告する。症例は13歳、男児。平成21年2月頃に左難聴を訴え、耳鼻咽喉科受診し、左軽度低音障害型感音難聴を認めた。その後低音域で中等度難聴に悪化し、3月に当科へ紹介され初診した。左鼓膜に青色の腫瘤が透見された。左側の側頭骨CTで高位頸静脈球が前庭水管・後半規管の骨欠損を伴い、鼓室への突出を認めた。その後浮動感やふらつき、長距離走やプールに飛び込んだ後の左難聴悪化をきたすことがあったが、その他は誘因なく頻回に左難聴の変動を反復した。2回実施したグリセロール試験では左側はともに陽性であった。聴力悪化時にはグリセオール点滴とプレドニゾロン投与を行い、聴力変動が頻回な時期にはイソソルビドの投与を行った。高位頸静脈球による前庭水管の骨欠損を介して内リンパ水腫が形成され、変動性難聴が生じたと推察した。

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© 2013 日本耳科学会
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